○岩見沢地区消防事務組合救急業務規程

平成29年8月30日

訓令第6号

岩見沢地区消防事務組合救急業務規程(平成15年訓令第2号)の全部を改正する。

目次

第1章 総則(第1条・第2条)

第2章 救急業務の管理(第3条―第6条)

第3章 救急技能の管理(第7条―第9条)

第4章 安全衛生管理(第10条―第13条)

第5章 救急隊(第14条―第17条)

第6章 救急活動(第18条―第30条)

第7章 救急活動記録等(第31条・第32条)

第8章 救急活動事後検証(第33条・第34条)

第9章 救急業務に関する施策の推進(第35条―第37条)

第10章 雑則(第38条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)その他の関係法令に基づき、救急業務の実施について必要な事項を定め、その能率的運営を図ることを目的とする。

(用語の定義)

第2条 この規程における用語の意義は、次に掲げるところによる。

(1) 救急業務とは、法に定める救急業務をいう。

(2) 救急事故とは、法及び消防法施行令(昭和36年政令第37号。以下「令」という。)に定める救急業務の対象である事故及び疾病をいう。

(3) 救急現場とは、救急業務の対象となる傷病者のいる場所をいう。

(4) 救急活動とは、救急業務を行うための行動又は医療用資器材等を輸送する行動で、救急隊の出動から帰署(所)までの一連の行動をいう。

(5) 救急資格者とは、令第44条第3項に定める者をいう。

(6) 救急救命士とは、救急救命士法第2条第2項に定める者をいう。

(7) 救急隊とは、救急事故に際し救急活動を行う隊をいう。

(8) 医療機関とは、医療法(昭和23年法律第205号)に定める病院及び診療所をいう。

(9) 傷病者とは、救急業務の対象となる者をいう。

(10) 関係者とは、傷病者の親族、同僚等又は事故の当事者をいう。

(11) 応急処置等とは、隊員の行う応急処置等の基準(昭和53年消防庁告示第2号。以下「応急処置等の基準」という。)第5条から第7条までに規定する観察及び応急処置をいう。

(12) 救急自動車とは、救急業務を行う自動車をいい、道路運送車両法の保安基準第49条に適合し、かつ、救急業務実施基準(昭和39年自消甲教発第6号消防庁長官通知。以下「実施基準」という。)に規定する要件を満たした車両をいう。

第2章 救急業務の管理

(救急業務等の管理責任)

第3条 消防長は、救急事情の実態を把握するとともに、救急業務の適正な執務体制の確立を図り、その運営に万全を期するものとする。

2 消防署長(以下「署長」という。)は、この規程の定めるところにより、所属職員を指揮監督し、執行体制の確立を図るとともに、救急業務の万全を期するものとする。

(関係機関との連携)

第4条 消防長及び署長は、医療機関、医師会、保健所、市保健福祉部その他救急業務等に関係のある機関及び団体と密接な連携を図り、救急業務の効率的な運営に努めるものとする。

(救急自動車に備える救急資器材)

第5条 救急自動車には、実施基準別表に掲げる資器材(以下「救急資器材」という。)の全部又は一部を備えるものとする。

(救急資器材の適正な配置及び管理)

第6条 署長は、救急資器材の適正な配置を行うとともに、救急資器材の効果的な活用を図るため、常に点検及び整備を行い、適正な維持管理に努めるものとする。

2 前項に定めるもののほか、救急資機材の管理に関して必要な事項は、別に定めるところによるものとする。

第3章 救急技能の管理

(研修計画)

第7条 消防長は、救急業務の適正な執行のため、岩見沢地区消防事務組合職員研修訓練規程第8条第1項(平成21年訓令第5号)の規定に基づき、研修計画を定めるものとする。

(教育訓練計画及び実施)

第8条 署長は、救急隊員(以下「隊員」という。)の知識及び技能向上を図るため、教育訓練計画を定め、実施するものとする。

(研修及び教育訓練の実施)

第9条 隊員は前2条の研修及び教育訓練を実施するほか、救急業務に必要な学術的知識及び技能の修得並びに向上のため、自己啓発に努めるものとする。

第4章 安全衛生管理

(隊員の健康管理)

第10条 署長は、隊員等が救急活動に従事したときは、必要に応じて洗身、洗眼及び手指、切傷の消毒等を励行させ、健康管理に万全を期さなければならない。

2 隊員は、常に自己の健康状態を最良に保持するよう努めなければならない。

(安全管理)

第11条 救急活動における安全管理の主体は、隊員とする。

2 救急隊長(以下「隊長」という。)は、救急活動の特性に応じた安全管理体制を早期に確立するとともに、隊員を指揮して傷病者及び協力者等の安全管理に努めるものとする。

3 隊員は、安全確保の基本が自己にあることを認識し、救急活動における安全監視、危険要因の排除及び行動規制等に配慮して危害防止に努めるものとする。

4 隊員が救急活動時に受けた、妨害及び暴力行為等への対応に関して必要な事項は、消防長が別に定める。

5 前各項に定めるもののほか、救急業務における安全管理に関しては、岩見沢地区消防事務組合警防規程(平成29年訓令第7号。以下「警防規程」という。)その他の関係規程等によるものとする。

(消毒及び感染防止対策)

第12条 消防長及び署長は、あらかじめ感染防止対策を講ずるものとする。

2 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)第6条に規定する一類感染症、二類感染症、新型インフルエンザ等感染症若しくは指定感染症の傷病者であって同法第21条の規定が適用されるもの又は新感染症の所見がある者は、搬送しないことができる。ただし、関係機関との協定書等に基づき、事前に感染防止に関して必要な措置が講じられているときは、この限りでない。

3 署長は、救急業務の実施に際し、ウイルス性疾患等の病原体により汚染を受け、感染のおそれが生じた場合には、速やかに必要な措置を講じるものとする。

4 前項に定めるもののほか、消毒及び救急活動実施上の感染防止対策に関して必要な事項は、別に定める感染防止マニュアル等によるものとする。

(廃棄物の処理)

第13条 署長は、救急業務により排出される廃棄物の処理については、関係法令に基づき適正な処理に努めなければならない。

第5章 救急隊

(救急隊の編成)

第14条 救急隊は、救急自動車1台及び救急資格者3人以上をもって編成するものとする。ただし、転院搬送の場合であって、当該医療機関の医師、看護師、准看護師又は救急救命士が救急自動車に同乗する場合には、救急自動車1台及び救急資格者2名以上をもって編成することができる。

2 前項に定めるもののほか、救急隊の編成に関しては、警防規程に定めるところによるものとする。

(隊員の心得)

第15条 隊員は、関係法令及び次に掲げる事項を遵守し、救急業務に従事するものとする。

(1) 救急業務の重要性を自覚し、救急業務に関する知識の修得及び技術の向上に努めること。

(2) 救急業務の実施に際しては、懇切丁寧を旨とし、傷病者に差恥又は不快の念を抱かせることのないよう言動に留意すること。

(3) 救急業務上、知り得た秘密を他に漏らさないこと。

(4) 応急処置等に際しては、適切な判断により行うこと。

(5) 常に救急資器材の点検及び整備を励行し、使用に際しては適正を期すること。

(6) 救急自動車の運転は、安全を旨とし、特に傷病者の状態に応じた運行に配慮すること。

(7) 常に身体及び着衣の清潔保持に努めること。

(隊員の服装)

第16条 隊員の服装は、消防吏員服制基準(昭和42年消防庁告示第1号)に定めるもののほか、次に掲げる服装によらなければならない。

(1) 活動服又は救助服、感染防止衣、防刃ベスト及び保安帽を着用するものとする。ただし、傷病者に対する応急処置等救急活動の実施に支障がありかつ、安全が確保できるときは、防刃ベストを着用せず、保安帽に代えてアポロキャップを着用することができる。

(2) 前号の規定にかかわらず、天候、気温又は災害状況等に応じて、感染防止衣に代えて、雨衣又は活動用防寒衣を着用することができる。

(応急救急隊及び支援隊)

第17条 署長は、救急現場において、安全で迅速な救急活動を図り、傷病者の容体悪化の軽減、救命率の向上のため、必要に応じて応急救急隊若しくは支援隊を組織し出動させるものとする。

2 応急救急隊は、遠隔地等で救急隊の到着に時間を要すると思われるときに、救急現場に先着し、応急処置等を行うことを目的として、消防隊のうち必要があると思われる人員及び車両をもって編成するものとする。

3 支援隊は、救急現場において救急活動を支援する必要があると思われるときに、消防隊のうち必要があると思われる人員及び車両をもって編成するものとする。

4 応急救急隊及び支援隊の出動は、別に定める岩見沢地区消防事務組合通信規程に基づき、指令により出動するものとする。

第6章 救急活動

(救急活動の原則)

第18条 救急活動は、救命を主眼とし、傷病者に対し必要な応急処置等を行い、速やかに適応する医療機関その他の場所に搬送することを原則とする。

(観察等)

第19条 隊員は、傷病者の周囲の状況、救急事故の形態及び傷病者の状態を把握し、応急処置の実施及び重症度並びに医療機関選定の判断に資するため、応急処置等の基準第5条に定める観察等を行うものとする。

(隊員の行う応急処置)

第20条 隊員は前条の観察等に従い、傷病者を医療機関その他の場所に収容し、医師の管理下に置かれるまでの間又は救急現場に医師が到着するまでの間において、傷病者の状態その他の条件から、応急処置を施さなければその生命が危険であり、又はその症状が悪化するおそれがあると認められる場合は、応急処置等の基準第6条に定める応急処置を行うものとする。

(救急救命士の行う救命処置)

第21条 救急救命士の資格を有する隊員は、救急救命士法施行規則(平成3年厚生省令第44号)第21条で定める処置(以下「救急救命処置」という。)を行う場合は、医師の具体的な指示を受けて実施するものとする。

2 前項の救急救命処置を行ったときは、救急救命処置録に必要事項を記載し、その都度、消防長に報告するものとする。

3 前項に定めるもののほか、救急救命処置の活動要領に関しては、北海道救急業務高度化推進協議会及び日高・南空知メディカルコントロール協議会が示すプロトコール等に基づき行うものとする。

(医療機関の選定)

第22条 医療機関の選定は、法第35条の5に基づき北海道が策定した傷病者の搬送及び受入れの実施に関する基準によるもののほか、地域の医療環境等に配慮しつつ、傷病者の症状に適応した医療が速やかに施しうる医療機関を選定するものとする。ただし、傷病者又は家族等から特定の医療機関へ搬送を依頼された場合は、傷病者の症状及び救急業務上の支障の有無を判断し、可能な範囲において依頼された医療機関に搬送することができる。

(医師の要請)

第23条 隊長は、次の各号のいずれかに該当する場合は、速やかに救急現場に医師(ドクターヘリ等を含む。)を要請し、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(1) 傷病者の状態からみて、搬送することが生命に危険であると認められる場合

(2) 傷病者の状態からみて、搬送可否の判断が困難な場合

(3) 傷病者の救助にあたり、医療を必要とする場合

(4) ドクターヘリ等の出動要請が有効と判断した場合

(搬送制限)

第24条 傷病者が次の各号のいずれかに該当する場合は、当該傷病者を搬送しないことができる。

(1) 明らかに死亡している場合

(2) 医師が死亡していると判断した場合

(3) 隊長が傷病者を医療機関へ搬送する必要を認め、その旨を十分に説明したにもかかわらず搬送することを拒否した場合

2 前項第3号の場合は、関係機関に引き継ぐなど必要な対応を図るとともに、不搬送処理書に当該傷病者又はその関係者の署名を得るよう努めるものとする。

(転院搬送)

第25条 転院搬送は、医療機関の医師が緊急に他の専門病院等に搬送する必要がある場合で、搬送先医療機関が確保され、かつ、他に適当な搬送手段がない場合に行うものとする。

2 転院搬送は、医師、看護師又は准看護師を同乗させるものとする。ただし、傷病者に必要な医療処置を施し、要請元医療機関の医師が、医師、看護師又は准看護師の同乗を要しないと判断したときは、この限りではない。

3 転院搬送先が管外の場合は、緊急に高次又は専門的な医療機関に搬送が必要な場合に限り、署長の承認を得て搬送するものとする。

(関係者の同乗)

第26条 隊長は、未成年者又は意識等に障害がある者で、正常な意思表示ができない傷病者等を搬送する場合で、傷病者の状況により必要があるときは、関係者又は警察官の同乗を求めるものとする。

2 隊長は、救急活動の実施に際し、関係者又は警察官が同乗を求めたときは、これに応じるものとする。ただし、救急業務に支障があると判断した場合は、同乗させないことができる。

(関係者への連絡)

第27条 隊長は、傷病者の状況により必要があると認めたときは、その者の関係者に対し、傷病の程度又は状況等を連絡するよう努めるものとする。

(要保護者等の取扱い)

第28条 署長は、次の各号のいずれかに該当すると判断される傷病者を医療機関へ搬送した場合は、市保健福祉部その他の関係のある機関に連絡するものとする。

(1) 生活保護法(昭和25年法律第144号)に定める被保護者及び要保護者

(2) 行旅病人及行旅死亡人取扱法(明治32年法律第93号)に定める行旅病人又は行旅病人に準ずる者

(3) 児童虐待の防止等に関する法律(平成12年法律第82号)に定める児童虐待を受けたと思われる児童

(4) 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成13年法律第31号)に定める配偶者からの暴力(配偶者又は配偶者であった者からの身体に対する暴力に限る。)を受けている者又は配偶者からの暴力によって負傷し若しくは疾病にかかったと認められる者

(5) 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(平成17年法律第124号)に定める養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者

(警察官との連携)

第29条 隊長は、救急事故等に際し、救急業務の実施が必要な場合で、次の各号のいずれかに該当する場合は、警察官の協力を求めてこれを行うものとする。

(1) 犯罪の疑いがあると認められる場合

(2) 交通事故の場合

(3) 労災事故の場合

(4) 精神障害により自傷又は他害のおそれがある場合

(5) 明らかに死亡している場合

(6) 前各号に掲げるもののほか、隊長が現場の状況から必要と判断した場合

(医療機関への引継ぎ)

第30条 隊長は、傷病者を医療機関へ引き継ぐときは、現場到着時の傷病者の主訴、応急処置の実施状況その他の必要事項を医師に伝達するものとする。

2 前項の規定による医師への伝達は、傷病者引継書又は口頭により行うものとする。

第7章 救急活動記録等

(救急活動記録)

第31条 隊長は、傷病者を搬送し、医療機関に引渡したときは、救急出動報告書を作成し、消防長及び署長に報告するものとする。

(救急搬送証明書の交付)

第32条 署長は、救急活動により搬送した傷病者又は傷病者の委任を受けた者から救急搬送証明願により救急搬送の証明について申請があった場合で、その内容が事実に相違ないときは、これを証明するものとする。

第8章 救急活動事後検証

(事後検証の実施)

第33条 署長は、隊員の行う応急処置の質を保証するため、救急活動の事後検証(以下「事後検証」という。)を実施するものとする。

2 前項に定めるもののほか、事後検証の実施に関して必要な事項は、北海道救急業務高度化推進協議会及び空知・日高地域検証部会の定めるところによるものとする。

(委託契約)

第34条 消防長は、事後検証を依頼する病院との間で事後検証業務委託契約を締結し、事後検証の確実な実施に努めるものとする。

第9章 救急業務に関する施策の推進

(救急広報等)

第35条 消防長及び署長は、救急自動車の適正利用、救急事故等の防止及び応急手当について、住民に対し岩見沢地区消防事務組合ホームページ等を用いて広報及び普及啓発に努めるものとする。

(患者等搬送事業の推進)

第36条 消防長は、寝たきりの高齢者、身体障害者及び傷病者等を対象に、これらの者の医療機関への入退院、通院及び転院並びに社会福祉施設への送迎に際し、ベッド等を備えた専用車を用いて搬送を実施する事業(以下「患者等搬送事業」という。)を行う者に対する指導及び認定を行い、患者等搬送事業の質的向上を図るものとする。

2 前項に定めるもののほか、患者等搬送事業に対する指導及び認定に関して必要な事項は、別に定めるところによるものとする。

(救急調査)

第37条 署長は、救急業務の円滑な実施を図るため、次に掲げる調査を行うものとする。

(1) 地勢及び交通の状況

(2) 医療機関の名称、位置、診療科目等

(3) その他必要と認める事項

第10章 雑則

(委任)

第38条 この規程に定めるもののほか必要な事項は、消防長が別に定める。

(施行期日)

この訓令は、平成29年9月5日から施行する。

岩見沢地区消防事務組合救急業務規程

平成29年8月30日 訓令第6号

(平成29年9月5日施行)

体系情報
岩見沢地区消防事務組合例規集/第7編 務/第1章
沿革情報
平成29年8月30日 訓令第6号